童話屋

この詩集は石垣さんの初めての詩集です。1959年に書肆ユリイカより出版された第一詩集の復刊です。

表題と同じタイトルの詩のほか42篇の詩篇が入っています。
表題の「私の前にある鍋と お釜と燃える火と」という詩(一部)をご紹介します。

(...)
炊事が奇しくも分けられた
女の役目であつたのは
不幸なこととは思われない、
そのために知識や、世間での地位が
たちおくれたとしても
おそくはない
私たちの前にあるものは
鍋とお釜と、燃える火と

それらなつかしい器物の前で
お芋や、肉を料理するように
深い思いをこめて
政治や経済や文学も勉強しよう、

それはおごりや栄達のためでなく
全部が
人間のために供せられるように
全部が愛情の対象あつて励むように。
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