童話屋

阪田寛夫さんの名前は知らなくても「サッチャン」なら知っている人はたくさんいます。
「サッチャン」は、まど・みちおさんの「ぞうさん」に並ぶ国民的童謡です。

童謡をたくさん書いたので、大人は阪田さんを童謡作家といって、詩人のひとつ下の位にしていますが、とんでもありません。「てんとうむし」「練習問題」「葉月」「熊にまたがり」「木の葉聖書」なんて読んでごらんなさい。いっぺんに好きになってしまうこと、請け合いです。「練習問題」を全文ご紹介しましょう。

「ぼく」は主語です
「つよい」は述語です
ぼくは つよい
ぼくは すばらしい
そうじゃないからつらい

「ぼく」は主語です
「好き」は述語です
「だれそれ」は補語です
ぼくは だれそれが 好き
ぼくは だれそれを 好き
どの言い方でもかまいません
でもそのひとの名は
言えない

ずいぶん昔のことですが、阪田さんは芥川賞をもらった作家です。(1974年下半期「土の器」)
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