童話屋

山村暮鳥は1884年群馬県生まれ。
萩原朔太郎や北原白秋と出会い交友を深め、生涯で11冊の詩集を刊行しました。

有名な詩は「いちめんのなのはな」です。この詩は、弊社刊『ポケット詩集Ⅲ』の方に収録しています。
「いちめんのなのはな」という詩句が24回もくり返され、読むうちに菜の花畑が目の前に広がってくるようです。

この詞華集に収録した詩でも、くり返しが多用され、五、六行の詩が「おなじく」というコトバで接続されてひとつの連詩を読んでいるような、回り灯籠を見ているような気分になります。なんとも珍しい不思議な詩作の作法です。
「こども」という詩では、


山には躑躅が
さいてゐるから
おつこちるなら
そこだらうと
子どもがいつてる
かみなり
かみなり
躑躅がいいぢやないか


と始まり、「おなじく」を十回も重ねた末に、


こどもが
なき、なき
かへつてきたよ
どうしたのかときいたら
風めに
ころばされたんだつて
おう、よしよし
こんどとうちやんがとつつかまへて
ひどい目にあはせてやるから


と結んでいます。
ページトップ