童話屋

同じ五・七・五なのに、川柳と俳句は大きく異なります。俳句が花鳥諷詠なら、川柳は人間諷詠。ユーモア、ウィット(機智)、エスプリ(才気)、サタイア(風刺)などを基調とする短詩です。

選句は西木空人氏。朝日新聞紙上で「朝日川柳」をたった一人で担当する氏は、天声人語の元名筆、栗田亘さんその人です。
古川柳から現代の作品までのなかから選ばれた川柳はどれもが粒ぞろい。

 「叱られて寝る子が閉めてゆく襖」「子が出来て川の字なりに寝る夫婦」「良心の唇青しカンニング」

とほほえましい句があれば、

 「貧しさもあまりの果は笑ひ合ひ」

と貧乏句。かと思うと、

 「逃げて行く家鴨のお尻嬉しそう」

と笑いを呼ぶ句もあります。また激しい反戦の句もあります。

「手と足をもいだ丸太にしてかえし」「国境を知らぬ草の実こぼれ合ひ」

どこのページを開いても、ウフフと笑い、涙ぐみ、身につまされます。
作者紹介や句の背景も語られており、入門書としても最適です。
全体として温かい句、子どもや生き物の句が目立つのは、編者の人柄でしょう。

この書籍についてのニュース

  • 朝日新聞 2016年4月18日付朝刊・リライフ面
     【Reライフ】十七音、人間をよむ

    …「「朝日川柳」選者で天声人語を担当したコラムニストが選んだ川柳集」。
     川柳の参考書籍として紹介されました。
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