童話屋

大人になっても自由で奔放で、詩を書き童話を作り、絵を描いて暮らした詩人・岸田衿子。
「菫の花から生まれた青いしじみ蝶」と形容したのは石垣りんさんでした。

小さいときから絵が好きで、絵描きのかたわらスケッチブックに詩を書きはじめ「ことばのデッサンに取り組むようになりました。」
絵本を書いてもエッセーや詩を書いても、衿子さんの主調音や色づかいは変わりません。

この詞華集を美しく飾る、花や実のカラー挿絵を描いたのは、植物学者で画家の古矢一穂さん。
表題「いそがなくてもいいんだよ」という一行は、「南の絵本」という詩の一節です。


いそがなくたっていいんだよ
オリイブ畑の 一ぽん一ぽんの
オリイブの木が そう云っている
(...)
ゆっくり歩いて行けば
明日には間に合わなくても
来世の村に辿りつくだろう
(...)
いそがなくてもいいんだよ
種をまく人のあるく速度で
あるいてゆけばいい
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